
溶連菌感染症は日々よく遭遇する感染症です。
主な症状としては、発熱を伴うのどの痛み。中には嘔吐したり、下腹部を中心に発疹が出る場合があります。
リウマチ熱や急性腎炎を合併することがあるらしいということは、外来でもよくお話させていただいています。
最近外来でも、インフルエンザ以外で流行している感染症の一つです。
今回のコラムは、溶連菌とそれに時折合併するアレルギー性紫斑病についてです。
アレルギー性紫斑病は、IgA血管炎、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病も同じ病気です。
主に下肢を中心とした小さな血管に炎症がおき、紫斑(皮膚の点状の赤紫の斑点)が出る病気です。
困ったことに、足の紫斑だけではなく、腹痛や下血、関節痛を合併することがあります。
多くは子供にみられ、感冒症状をきっかけに免疫反応の変調がおきてしまうことが原因とされています。溶連菌感染症もそのきっかけの一つとして知られており、臨床の現場でも比較的よく見られます。発症には粘膜の免疫にかかわるIgAが関与しているようなので、IgA血管炎とも言います。
紫斑の発症のタイミングとしては、溶連菌にかかって数日から数週間で足の発赤で気が付くことがあります。溶連菌に対しては抗生剤の治療でよいのですが、紫斑を治す効果は抗生剤にはありません。あくまでも溶連菌による炎症を弱めるのが目的です。なので、抗生剤を飲み終わったのに紫斑が出てきたということもあります。
紫斑病に対しては、経過観察で問題ない場合もあるのですが、基本は安静と関節炎に対しては鎮痛剤を使用。また腹痛が強い場合などはステロイドを使用することもあります。
そして、この紫斑病を発症した場合、血尿やたんぱく尿が出現し、慢性腎炎の代表であるIgA腎症のような検査所見が見られることがあります。血尿やたんぱく尿が見られた場合は「紫斑病性腎炎」といい、数か月から1年程度の尿検査のフォローが必要になります。
紫斑病性腎症とIgA腎症の腎臓組織をみると、IgAの組織への沈着は同じですが、血管炎が主体かそうでないかということが鑑別になります。IgA腎症と紫斑病性腎炎、溶連菌感染後急性腎炎はそれそれ異なる病気ですが、上気道炎症状が主体の風邪がきっかけで悪化するというのは共通しています。
溶連菌にかかったあと、また風邪症状があったのちに足に紫斑が出てきた場合には、かならず病院を受診するようにしましょう。



