健診で異常を指摘されたら
健康診断は、定期健康診断や特定健診あるいは個人で受診する人間ドックなどがあります。
そのほとんどは、メタボリックシンドロームやがんなどの生活習慣病を早期に発見するための検査が中心となっています。
健診結果が返ってきたときに、検査の項目の数値以外に
- A:異常なし
- B:軽度異常
- C:要観察・要再検査
- D:要精密検査・要治療
- E:治療中
の判定を確認してみてください。
すべてA判定でなくてはいけないわけではありません。
自覚症状がないからこそ、早めの気づきと治療のきっかけになればよいのです。
B…日常生活に支障がない程度のものという判断です。症状があればご相談ください。
C…健診によっては「3か月後」「6か月後」「12か月後」と経過観察の時期が指示されている場合もあります。結果を受け取ったら、その時期を目安に受診していただきその後の数値を評価してみましょう。場合によっては治療になることもありますし、引き続き医療機関で経過観察が必要になる場合もあります。
D…早めに医療機関にいって精密検査ならびに治療が必要です、という意味です。
気になることがあればご相談ください。
血球異常
貧血
主に赤血球のヘモグロビンの数値で判定します。基準は施設によって誤差はありますが、大まかに12g/dlを切る場合には貧血です。特に10g/dlを切るような場合には早めの治療が必要です。健診で指摘される貧血のほとんどが鉄欠乏性貧血で女性に多く見られます。若い時から言われているから仕方ないとあきらめないでください。
白血球異常
白血球は多い、あるいは少ないという指摘を受ける場合があります。
たまたま風邪を引いたなどの「炎症」があったタイミングで採血をした場合もありますが、血液疾患が隠れている場合があります。喫煙する方が高値を示すこともありますが、かならず再検査を実施しましょう。
血小板異常
血小板は出血を止めるために非常に重要な成分です。今、特に出血していなくても注意が必要です。特発性血小板減少症(ITP)や肝硬変による血小板減少など確認が必要です。
またITPの患者様はピロリ菌感染との関連も注目されています。
心電図異常
心拍数異常や不整脈、波形の異常など様々です。まずは問診と胸部の聴診を行い、精密検査として採血や心臓超音波検査、ホルター心電図を実施する場合があります。実際に再検査をしてみて治療が必要なものであるのか判断しなくてはいけません。
心雑音
胸部の聴診をした際に、無症状なのに心雑音を指摘されることがあります。心雑音の原因を確認するためには心臓超音波検査を実施しています。心臓弁膜症などの疾患が見つかることもありますが、機能性雑音といって結果的に異常はなく経過観察となる場合もあります。当院では、学校健診で心雑音を指摘されたという場合にも心臓超音波検査を実施しています。比較的弁膜症の程度が強い場合にはより高度な医療機関をご紹介させていただく場合もありますが、軽症の場合には当院でフォローアップさせていただいています。
尿検査異常

健診では、尿潜血・尿たんぱく・尿糖・尿沈渣などの検査を実施します。
上記の異常を指摘された場合、慢性腎炎や糖尿病、尿路感染症などの病気の可能性があります。また、小児では毎年学校での尿検査があります。異常を指摘された場合には、必ず再検査が必要です。尿検査は痛みを伴わずに非常に様々な情報が得られる検査です。再検査では、尿以外にも血液検査や腹部超音波検査を実施します。
治療を要するものから、慢性腎炎のように定期的な経過観察を要するもの、あるいはナットクラッカー症候群のようにあまり心配しなくてよいものまで様々です。異常を指摘された場合には、がんなどの悪性疾患を否定するため尿細胞診の検査も望ましいです。
肝機能異常

GOT,GPT,γ-GTP,総ビリルビン、ALPなどの数値が異常をきたしていると、肝機能異常の判定となります。主に、脂肪肝やアルコール性肝炎以外にも胆石症や胆のうポリープなどの病気が見つかることがあります。その場合、血液検査以外にも腹部の超音波検査を実施することをお勧めします。脂肪肝は内臓脂肪の蓄積によりみられる現象で、長く続くと糖尿病や肝硬変などの病気を引き起こします。
最近では飲酒をしないにもかかわらず脂肪肝(非アルコール性脂肪肝炎:NASH)となり肝硬変や肝臓がんをきたす患者様が増加傾向です。また女性の場合には、胆のう疾患(胆石、胆のうがん、胆管がん)の頻度が男性よりも多く見られます。無症状の場合でも、肝機能異常の指摘を受けた場合には、かならず腹部超音波検査の実施をお勧めします。
腎機能異常
クレアチニンが高い。GFR60未満。尿蛋白、潜血などの尿所見異常から再検査や精密検査の判定が出ます。健診で何らかの腎機能異常があっても自覚症状が出ていることは非常にまれです。当院では腎臓専門医の立場から、どの程度の異常なのか、異常の原因は何か、今後治療が必要なのか、食事制限が必要なのかなどを判断します。
患者様の中には、血液透析を恐れるあまりに腎機能障害の指摘をうけてから、自己流の食事制限を始めてしまう方もいますが、それは好ましくありません。腎機能異常=透析ではありませんので、まずは落ち着いて健診結果をご持参のうえご相談ください。
脂質異常

LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪の異常をきたす場合です。メタボリックシンドロームや生活習慣病の場合から、内分泌疾患など原因は多岐にわたります。
現状の動脈硬化の状況を把握するため、頸動脈エコーの実施をお勧めします、また今後の動脈硬化を予防するために、年齢や基礎疾患にあった治療目標の設定が必要です。
脂肪肝や高血圧などを合併していることも多く、食事や運動などの生活習慣の見直しが必要になることがあります。女性では更年期以降に脂質異常をきたすことが多いです。当院では管理栄養士による栄養指導も行っております。
また、脂質系の数値が異常に低値である場合にも再検査の指示が出ます。その場合、単なる体質的なものの場合もありますが、バセドウ病などの甲状腺機能異常が隠れている場合や、極端なダイエットが原因になっていることもあります。異常を指摘された場合には再検査をお勧めします。
尿酸値の異常
高尿酸血症は若い方から中高年まで、比較的男性に多くみられます。
数値が高くても、皆様痛風発作を起こして痛い思いをしないとなかなか病院に受診してくれません。しかし、痛くなくても高尿酸血症は動脈硬化の危険因子です。狭心症や脳梗塞、また慢性腎臓病の原因になります。
高尿酸血症の多くは、メタボリックシンドロームを合併しており、高血圧や脂質異常、糖尿病を合併することがしばしばです。生活習慣の見直しと定期的な検査と治療が必要です。
血糖値の異常
血糖値が高い、あるいは、HbA1cが高いことで指摘を受けます。HbA1cとは、検査日からさかのぼって1-2か月の血糖値を反映しており、6.5%を超えると糖尿病です。
また、生活習慣病の予防という観点から5.6-5.8%未満のコントロールが望ましいとされています。HbA1cが正常範囲でも、空腹時血糖が100を超えていても指摘を受けます。
飲酒習慣のある方は、実は朝の血糖値が高いという傾向があります。HbA1cが正常範囲でも、長く飲酒を継続することで糖尿病になるリスクが上がります。
糖尿病は、発症する前に予防することが大切です。また、多くの場合脂質異常や高血圧、脂肪肝などの合併があります。
定期的な血糖値のチェックと生活習慣の見直しをしましょう。
便潜血
大腸がんを早期に発見するために、便潜血検査が実施されています。もし2回中1回でも陽性に出た場合には、大腸内視鏡検査を実施しましょう。
便潜血陽性の場合、もちろん痔の場合もありますが大腸ポリープの段階で発見し摘除すれば大腸がんの予防に非常に有効です。大腸ポリープはそのまま放置するといずれがん化して大腸がんになることが知られています。
当院では大腸内視鏡検査を実施していませんが、実施可能な施設をご紹介いたします。
胸部レントゲン異常
胸部のレントゲンでは主に肺の病気や心臓の大きさなどを見ています。
肺の異常(異常陰影)を指摘された場合には、再検査を実施し感染症の可能性や悪性腫瘍の可能性、過去の炎症の跡が残っている(陳旧性病変)ということが考えられます。また喫煙歴のある方だと、肺気腫の傾向があることもあります。腫瘤など認められる場合にはCT検査ができる医療機関をご紹介させていただきます。
また、心臓が大きい場合は「心拡大」という指摘をされます。この場合血圧測定や胸部聴診も行います。心臓弁膜症や心不全、心筋症などの有無を確認し必要に応じて治療を開始いたします。
頚部腫瘤・甲状腺が大きい
触診で甲状腺が大きいのでは?と言われることがあります。その場合、超音波検査を実施し、甲状腺の大きさを確認します。また甲状腺ホルモンを検査し背景に橋本病やバセドウ病などの疾患がないか確認します。また甲状腺以外にリンパ節の腫れなどの場合にも超音波検査を実施いたします。
血圧の異常
あまり低血圧で再検査になることはまれですが、高血圧を指摘されることは年を重ねることに増えてきます。
健診会場では緊張してしまったから、という場合もあります。もちろん精密検査で訪れた病院ではなお血圧が上がりやすいでしょう。もし異常を指摘されたら、まず自宅での安静時血圧を測ってみましょう。健診結果を自宅での血圧測定の結果を持参していただけると非常に診療の参考になります。高血圧は自覚症状がなくても、治療が必要です。