尿沈渣とはなにか|青和クリニック|内科・小児科・循環器内科・腎臓内科

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尿沈渣とはなにか

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健康診断で「尿沈渣」という項目を見たことがあるでしょうか?

そもそも沈査とは何かというと、字のごとく「下に沈んだおり」のこと。

赤ワインを飲む方は、熟成が進んだ品質の良い赤ワインの瓶の底にある「おり」と同じ。

ワインのおりは高級な証拠ですが、尿の場合には何かしら病気を考えなくてはなりません。

尿沈渣を見るのは手間のかかるのですが、臨床検査技師さんが一生懸命顕微鏡をのぞきながら、変な「おり=沈査」がないか確認してくれている検査です。

尿沈渣にも様々な種類があり、実はこれが見えたら病気の可能性が大きいというものがあります。

①血球類 :赤血球や白血球

「血尿」と一言で言っても、「どこで赤血球がまじったのか」によって形が変わります。

腎臓の糸球体からの出血の場合、本来は白玉のような赤血球の形が壊れ変形していることが多いのです。これは、尿ができる過程で尿の浸透圧やpHが変わる影響で赤血球表面の細胞膜にダメージがおこります。その結果、金平糖やゴーストや雪だるまのようになったり、膨らんだりと様々な形になるのが特徴です。

また糸球体からの出血の場合、血尿の色も「赤」ではなくどちらかというと「茶色っぽい」色になります。

 

白血球が混ざっている場合には、尿路感染症などが疑われます。

②上皮細胞

尿の通り道の管の表面の細胞が剥がれ落ちたものです。実はその部位によって、細胞の形が違っています。

この中でも、これが見られたらおかしいというのが「卵円形脂肪体:oval fatty body (OBF)」というかわいらしい名前のもの。これはネフローゼ症候群に特徴的なもので、尿細管上皮細胞に脂肪滴が含まれており、偏光顕微鏡で見ると十字に光ることから「マルタの十字」と素敵な名前がついています病気としては。でる困りますが、私のお気に入りの尿沈渣です。

また、尿路系の悪性腫瘍の場合には悪性化した上皮細胞がみられることがあり、主に細胞診で発見されます。

③各種「円柱」

これは見た目が円柱の形をしている沈査のため、この名前で呼ばれますが、円柱にもいろいろあります。

尿が通る道は管状です。ここに炎症がおき、様々な細胞と尿細管上皮細胞からでたたんぱく質によって円柱状のものができます。

硝子円柱以外は、病的なものとして考えられます。

赤血球円柱:赤血球が主な成分の円柱。糸球体からの出血を示唆しています。

白血球円柱:腎臓自体に感染や炎症があるものを示唆しています

脂肪円柱:卵円形脂肪体が集合してできた円柱です。ネフローゼ症候群で見られます。

顆粒円柱:変性した尿細管上皮細胞や白血球由来のもの。腎臓自体の障害がある場合にみられる。

ろう様円柱:様々な円柱成分が変性し、ろうのようになったもの。腎不全や腎炎末期など比較的重篤な腎疾患にみられる。

それ以外にも何種類もの円柱の種類があります。腎臓の状態が悪化し、腎不全時には幅の広いbroad castと言われる円柱もみられます。

つまり、尿の通り道に炎症がおきて、とおりが悪くなるとこの円柱ができるということになります。

健康診断ではそこまで円柱が見られるケースは少ないのですが、尿には様々な情報が入っています。